【経営コラム】重要な経営法則(その2)

5.マネージメントの愚行(ピーターの法則)
6.イノベーションは、生産者からの提案が起点!(シュンペーター)
7.過度な客指向からの決別を…(SP経営協会)

…前回からのつづきです。

中小零細企業におけるその経営の良し悪しは、そのほぼ100%が経営者一人の力量によって決まります。また、その力量の一つは知見の有無です。知っているか知らないかです。(別次元で行動力の有無等がありますが、別の章に譲ります。)
経営者として知っておくべき知見は星の数ほどありますが、ほんの一部を紹介します。

■マネージメントの愚行、ピーターの法則〔ウィキペディアより引用〕により、以下の愚行が提唱されています。
〔南カリフォルニア大学教授の教育学者ローレンス・J・ピーター(Laurence J. Peter)によりレイモンド・ハル(Raymond Hull)との共著 THE PETER PRINCIPLE の中で提唱された。〕

1.能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。すると有能な平(ひら)構成員も無能な中間管理職になる。

2.時が経つにつれて人間はみな出世していく。無能な平構成員はそのまま平構成員の地位に落ち着き、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は無能な人間で埋め尽くされる。

3.その組織の仕事は、まだ出世の余地のある、無能レベルに達していない人間によって遂行される。

今後のマネージメントや、自身のキャリア形成に大変役立つ知見です。頭の引き出しに、所番地を決めて保存してください。

■イノベーションは、生産者からの提案が起点!(シュンペーター)

「経済における革新は、新しい欲望がまず消費者の間に自発的に現われ、その圧力によって生産機構の方向が変えられるというふうに行われるのではなく…(略)…、むしろ新しい欲望が生産の側から教え込まれ、したがってイニシアティブは生産の側にあるというふうにおこなわれるのが常である」(シュンペーター)

○日常的に高頻度で消費する食品や雑貨、様々なサービスを、消費者の近隣に高密度で配置したコンビニチェーン、この業態を消費者は自ら望んだでしょうか?これらを利用してその恩恵を知り、結果としてなくてはならないそれになったはずです。

○スマートフォンを手元に置いているはずです。この様な機能を備えたIT端末を消費者は自ら望んだでしょうか?こんなことができるから、便利で楽しいから、…ぜひ使ってください、といわれて使い始めたら手放せなくなったはずです。

マーケットインではなく、プロダクトアウトする力、この創造力こそ起業力(企業力)です。

■過度な客指向からの決別を…(SP経営協会)

「日本の企業は顧客の声を聞きすぎる。顧客の過度な要望への対応は、企業を疲弊させ、低生産性の元凶になっている。顧客を神さまと勘違いして、過剰な対応を行うということは、一方で、自社の経営と社員を疲弊させることになる。顧客に提供するサービスの内容と、負担いただく価格のバランスが、国全体として崩れてしまっていることが、日本の生産性を著しく低くしてしまった。〔お人好し症候群〕が起点となり、〔分散症候群〕と〔安売り症候群〕が常態化している。…」(SP経営協会)

「…日本の2015年度の時間当たり労働生産性は、OECD35カ国中20位で42.1ドルです。米国68.3ドル、ドイツ65.5ドル、イタリア51.9ドル…」〔公益財団法人日本生産性本部労働生産性の国際比較2016年度版から引用〕

日本人が、国を挙げて「働き方改革」に取り組まねばならないほど、日本人は長時間働いています。一方、上記の国際比較からもわかるように、時間当たり生産性は極端に低い状況です。では、なぜ時間当たり生産性がこれほど低いのでしょうか?

1.労働が間延びしているから、店舗ビジネスでは営業時間が長すぎるから。
2.価格が安すぎるから、総じて皆が安売りを仕掛けているから。

上記の二つの仮説には一定の信憑性がありそうです。(※諸説ありますが。)

どうすればよいか…答えは案外単純です。営業時間・アイテムを絞り込む、値上げすることで顧客を選別する、この活力を利用してより高付加価値、アッパーニッチのマーケットでプロダクトアウトを活発に行うことがこれからの中小企業経営を成功させるポイントになるはずです。

…次回につづく

 


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