【経営コラム】金融機関対応・資金調達Q&A(その5)

Q9:融資依頼を行ったら銀行の担当者に「役員報酬が少ない。」と言われた。
役員報酬が少ないと借入れが受けられないのか?
Q10:「雨が降ってきたから傘(お金)は貸さない、晴れている時は傘(お金)を貸す」と言う。
銀行とはどんなところだ?

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有することを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。
前回に続いて、一部をご紹介させていただきます。

■Q9:
『融資依頼を行ったら銀行の担当者に「役員報酬が少ない。」と言われた。役員報酬が少ないと借入れが受けられないのか?』
(相談者様)

◆A9:
融資依頼をするために決算書を提示した時に、出入りの銀行の担当者が「役員報酬が少ないですね。」と言ったそうです。併せて、新規の融資に難色を示されたので、相談者様は役員報酬が少ないと借入れが受けられないのか?との疑問を持たれたようです。

○金融機関が新規の融資を検討する時には、まず現状の財務の健全性を確認します。
・簡易キャッシュフロー(税引き後利益+減価償却費)を確認します。
・この簡易キャッシュフローの要素となる税引き後利益を確認するために、販売管理費も確認します。
・この時、役員報酬が過少であれば、本来はもっと役員報酬が必要となるため、税引き後利益が少なくなるのではないか?と考えたと推測できます。
・金融機関が考える役員報酬額に置き換えた時、簡易キャッシュフローが極小であったため、新規融資に難色を示されたようです。

○役員報酬の多い・少ないではなく、実態の税引き後利益がポイントです。

※融資審査時の財務診断は他にもあります。簡易キャッシュフローの診断はほんの一部です。

◎当事務所にて、診断を行った結果、奥様の所得が給与に計上されており、社長様の役員報酬は過少であっても、世帯所得は常識の範囲内である、役員報酬額の是正(税引き後利益の減額補正)は必要ない旨を、銀行担当者に説明することで、理解を得ました。誤解を解きました。金融機関との折衝は、当事務所が行いました。必要な金額の新規融資を調達できています。

■Q10:
「雨が降ってきたから傘(お金)は貸さない、晴れている時は傘(お金)を貸す」と言う銀行とはどんなところだ?(憤り)

◆A10:
6か月前に融資を受けませんかとの提案をいただいたそうです。その時は断ったが、その後、主要な取引先との取引がなくなって、業績が悪化して赤字に転落しています。(試算表ベースで大赤字です。)同じ銀行に融資依頼を行うも、「融資できない(銀行担当者)」との回答だったそうです。

○金融機関は総じて、「雨が降っている時には傘を貸しません。
晴れたら傘を貸しに来ます。」金融機関にあるのはすべて「日傘」ですから当然です。金融機関にある傘はすべて「日傘」であって「雨傘」ではないことを理解してください。金融機関対応はこの趨勢を理解して行わないと本事案の様な間違えを起こします。

※「雨傘」は、国策としての制度融資や制度保証として時々貸し出される例外です。

◎当事務所にて財務診断を行いましたが、足元の業績の悪化が顕著で、新規借り入れの返済原資となるキャッシュフローの見込みが立ちません。新規の借入れは無理です。

・経営改善計画書を作成して既存借入れのリスケジュール(返済金額0円)を即座に実行しました。
・資金繰りシミュレーションを継続的に行いながら、資金ショートの回避と収支バランスの改善に、財務部長として継続してご支援させていただいています。
当事務所のサービス「資金繰り円滑化サービス(財務部長の代行業務)」を導入いただいています。社長様の経営改善を資金繰り・財務面で継続的にサポートできています。収支改善の目途が付けばいち早く、資金調達にもチャレンジします。(この時は、リスケジュールを同時に解消します。)

※本事案においても、6か月前に提案された融資を受けておれば、経営改善のための手持ち資金に余裕が持てたはずです。本事例については、是非記憶に留めてください。

 


※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。